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なぜ!?サンプルにまつわるトラブル事例と対策

「サンプルを確認して問題なかった、量産も大丈夫だろう」と考えるのは、日本企業が中国製造において陥りやすい落とし穴の1つです。

その理由は、サンプル時には量産とは異なる良い材料や工程が採用されることや、量産に移行するとコストダウンのために材料の質が落とされたり、工程が簡略化されたりすることがあるからです。
では、なぜこんなことが起こるのか? そして、それを防ぐために企業はどのような対策を講じるべきなのかを解説していきます。

サンプルと量産の違いを理解する


日本企業は、サンプルの品質を確認し仕様を満たしていれば、量産でも同じ品質が維持されると考えがちです。 中国の工場に関してはサンプルと量産が同じ品質で仕上がるとは限りません。以下は全て私自身が経験した事例です。

1.材料の違い


サンプルの段階では、工場は量産よりも良い部品や材料を使用することがあります。これは、発注を獲得するために「とにかく良い製品」を見せるためです。

・サンプル時は高品質な部品や材料を使用。しかし量産時には安価な代替品に変更されていた。見た目ではわからないが耐久性に問題が出た。

・同じ材質を使用していると言われたが仕入れ先を勝手に変えられてしまい、同じ材質のはずなのに品質が低下。

2. 生産者の違い


工場には様々な部門があります。業種や商品ジャンルにより異なりますが、サンプル作成は技術部門・量産は製造部門、と分けている工場を数多く見てきました。

・サンプルはとても丁寧に作られているが、量産時には全く異なるクオリティのものが生産されていた。(量産時に作業者の手作業が多い商品で多く発生)

・サンプルを解析したが問題点だらけでNG、としていた工場が実は量産時にはクオリティが高いものを作っていた。実際はサンプル作成時は手作業で技術部門が作成していたが、量産時は全自動設備で生産しているので量産品の方がクオリティが高かった。(電気系で多く発生)

3. 生産環境の違い


サンプルは比較的管理の行き届いた環境で作られるが、量産はライン生産の中で行われるため、環境削減による品質の変化が発生する場合もあります。

・温度や湿度が影響する製品では、サンプルを作る場所と量産時の生産現場の環境に変化があり品質が低下した。

・工場の設備の設定により品質のバラつきがある。

サンプルから量産をスムーズに行うためには


このような問題を防ぐためには、購入側が量産時の品質管理を徹底する必要があります。

1.試作ロットを生産


量産前に試作ロットを実施し、本番の量産と全く同じ条件で試作を行います。

・実際に使う部品や材料、設備、作業者を量産時と同じにする。

・試作ロットなのでできるだけ小ロットで生産する。

・試作ロットは自社での評価やフィールドテスト(市場テスト)を行い改善点を工場へフィードバックする。

2.量産時の監査


量産が始まるタイミングで工場を訪問し、次のポイントをチェックします。

・使用している部材、材料がサンプル及び試作ロットと同じか(材質、仕入れ先)

・生産ラインや設備の設定がサンプル及び試作ロットと同じか。

・作業責任者、品質管理担当者がサンプル及び試作ロットと同じか。

3. 量産後


毎回注文をかけるにつれて、品質が徐々に低下するリスクがあります。そのため、定期的な抜き取り検査や工場へのフィードバックを行うことで、ロット間の問題を防ぎます。

・生産ロットごとにランダムに製品を取り出し、寸法や仕上がりを確認する。

・強度や耐久性の試験を行い、仕様を満たしているか確認する。

・市場での問題を工場にフィードバックし、工場と協力して改善策を立てる。

まとめ


上記のことから「サンプルがOKだったから、量産も大丈夫」という考え方は非常に危険です。 実際の量産では、さまざまな事情によって品質が変化し、思わぬトラブルが発生することが多くあります。

そのため、試作ロットの活用、工場訪問による現場確認、定期的な抜き取り検査を組み合わせ、継続的に品質管理を行うことが大事です。
特に中国の工場では、購入側が積極的に関わり品質を維持するための管理体制を築いて行きましょう。

今回は以上です。

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