Strategy
海外メーカーからぜひ日本の総代理店になってくれと言われるには?

こんにちは!
BUPPANコンサルタント黒田です。
何年か前、僕は毎日毎日朝も夜もとあるアメリカ人とメールでやり取りしていました。
彼はマークという名前で、アメリカの小さいメーカーの社長でした。
マークとは本当に毎日、多い日は一日に何往復もメールのやり取りをしてました。今思うと自分の両親とこれまでやり取りしたメールの総数よりもマークとやり取りした回数のほうが多いと思います。笑
そんなマークからある日、こんなメールが届きました。
I was considering directing any new dealer inquiries from Japan directly to you as our trusted distributor.
Below is an example of a new dealer inquiry/order.
ざっくり要約すると、日本からの新しい注文や問い合わせはまかすから頼むわ、みたいな感じです。その翌月、マークの会社とは総代理店契約をすることにしました。
海外メーカーに信頼されるにはコツがあります。
そして別に難しくありません。
今日は、実際どんな風に接すれば海外メーカーと良い関係を築けるか、マークの会社とのやり取りを例にお話しします。
ちなみにマークの会社の商品は当時すでに日本に代理店がいて、Amazonでも販売している人がいました。普通だと後で入ってきた僕が総代理店になるのはとても難しいパターンです。
僕が初めてマークの会社に商品仕入れの問い合わせをしたのは、僕がまだ総代理店中心ではなくAmazonで相乗りで出品できる商品を中心に扱っていた頃でした。
セラーリサーチした結果、マークの会社の複数の商品が日本で売れていることが分かったので取引依頼をしました。
マークの会社とはメールですぐに連絡が取れて、仕入れることにしました。初回の注文は確か1500ドルぐらいだったと思います。
2回ほどマークの商品を仕入れたあと、ふとマークに聞いてみました。
「日本での販売で困っていることはないか?」
するとマークからは、ここ数か月日本でマークのブランドのコピー品が出回っていて、それがどういうルートで市場に出回っているか分からないからなんとか対策をしたいという答えが返ってきました。
僕は、これはチャンスだと思いました。
というのも、今では日本特有の法律や認知拡大の施策など代理店としての価値を感じてもらえる施策が色々できるようになりましたが、当時の僕はあまり武器がなく、海外メーカーに提供できる価値があまりなかったため、絶好のチャンスだと思ったのです。
早速そのブランドの商品を異常な安さで販売しているセラーをリストアップし、全員に強めの抗議文&問い合わせ文を送りました。
全員を相手にするのはかなり時間がかかるだろうなと思っていましたが、意外にもすぐにほとんど全員から謝罪と出品取り下げの返答が来ました。
みんなコピー品を売っている自覚があったので後ろめたかったのかもしれません。
一部のセラーからは、仕入れ先の中国工場の情報も手に入れることができました。
早速マークに中国工場の情報を渡しました。マークからは感謝と共に困惑したようなメッセージが返ってきました。
マークの困惑の原因はすぐに明らかになりました。どうやらコピー品を流していたのは、マークが製造を委託していた工場で、マークを経由せずに他社に無断で商品を流していたのです。
その後すぐにマークが中国の工場に横流し行為をやめるように警告し、横流し問題は解決しました。
このようにして、違法コピー品(正確にはコピーというより横流し品だったわけですが、、)の仕入れ元を潰すことができて、日本で流通しているコピー品の大半を排除することができました。
このケースではたまたま製造元まで突き止めることができたので対策することができましたが、別の工場が勝手に作ってしまうパターンだと今のままでは対策は難しいだろうなと感じていました。
より強固にブランド保護するためには、日本で商標をちゃんと確保しておく必要があると感じました。ちなみにそのメーカーはアメリカでは商標を取っていましたが日本では商標を取っていませんでした。
そこでメーカーと相談し、うち主導で日本で商標を取ることにしました。
この商標出願のときにさらに大問題が発覚しました。
僕ともメーカーとも関係ない日本人が、そのブランド名で商標を出願していることが発覚したのです。
その時点では出願だけ終わっていて、まだ登録はされていない状況でした。
この状況で、僕はまたチャンスだなと感じました。
この問題をアメリカのメーカーが日本の弁理士経由で解決するには多大なコストがかかります。しかし、これを解決しないとそのブランドは日本で販売することはできません。
僕はマークにこの問題を解決してあげると宣言しました。宣言はしましたが、当時まだそこまで知財について詳しくなかったので、この時点ではまだどうやって解決したらいいか想像もついていません。
どう動いたら良いか分からなかったので、知財系の紛争に強いと有名な弁護士事務所に相談しました。
そこでの話はとても有益でした。
マイナーな海外ブランドの場合は日本でそのまま商標登録されてしまう可能性もあること、ただ不正競争防止法違反の可能性が高いので、その線で攻めると良いのではとのことでした。
弁護士への対面での相談費用は1時間で5万円ぐらい取られたので、当時の僕からするとかなり痛かったです。笑
早速、勝手に商標出願した日本人に連絡しました。そのときに伝えたのは、アメリカのメーカーは激怒していて損害賠償請求を検討していると伝えました。勝手に出願したのはどうやら同じような業態でAmazonで販売している日本人のようでした。
すると、その日本人の手続きを代理したと思われる弁理士から連絡がありました。その回答は意外なもので、出願人は使用意思を持って商標を出願しているのにどこに違法性があるのか、というような内容でした。
僕はこのしょうもない弁理士の返答にかなり腹が立ちました。
職業として弁理士をやっていて、海外ブランドの乗っ取りをしようとしているのは明白なのにこんなに白々しいコメントができるとは、プロの風上にもおけないと感じました。
その弁理士には、不正競争防止法2条1項1号に抵触する可能性が高いこと、日本での周知性を販売数や検索ボリュームから定量的に示し、不満があるなら法廷で争いましょうと伝えました。
この件について相談した弁護士の名前も付け加えてみました。1時間で5万円払ったのでそのぐらいは良いでしょう。笑
こちらの主張をそこそこ強めに伝えたせいか、出願人からは商標出願の取り下げの連絡が来ました。
そして晴れてそのブランドは日本で商標を登録することができて、より強固にブランド保護できるようになりました。
商標の騒動が終わったあと、冒頭のようにマークからは日本での販売を任せたいというメッセージが来ました。
当時は代理店としての武器が本当に少なかったので、気合いで価値を提供してそれが認められたので、うれしかったですね。
ちなみにこのブランドに対してここまでがんばれたのは、すでに日本でかなり大きな売上と利益が見込めたからです。
商品カテゴリやメーカーによってはそこまでがんばっても元が取れないことも十分あるので注意してください。
よくあるパターンとしては、メーカーが最初から代理店同士を競わせる方針で総代理店を置く気が全くないというパターンです。この場合はいくらがんばっても元は取れないのでそこだけ早めに確認しておく必要があります。
ということで今日は、
「海外メーカーからぜひ日本の総代理店になってくれと言われるには?」
というテーマで実体験を元にお話ししました。
まだ海外メーカー取引経験が浅い方も、気合いで価値提供すればメーカーの信用を勝ち取ることができます。ぜひ試してみてください。